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顧問の独り言 2013年12月号

引退試合。罰走。

第9代主将フタカナの一本締めで、2013年も全ての活動を終えることが出来た。部員保護者を始め、周囲の応援があってこその女子サッカー部である。こういう区切りの時にはいつも、周囲の理解と支えに感謝を思う。

23日から安城市多目的グランドにて恒例の安城フェスティバル(という名のタダの練習試合)を実施した。基本的には県内の高校が集まって…ということだが初日には久しぶりに大橋先生率いる聖隷クリストファー(静岡)に参加していただき、アンガクだけでなく他校にも多くの刺激を与えていただいた。ストーブ周りではサッカー談義に花が咲き、毎年トピックスに事欠かないこの行事だが、今年度は勝手ながら本校3年生の引退試合として1本実施することが出来た。対戦相手は至学館高校。互いの良さを知る間柄であり、このゲームも快諾していただけた。何より、こんなゲームでありながら真剣味溢れるプレーをしてくれた至学館部員と、モチベーションを掻き立てるコーチングを展開してくれた原先生、柴田先生、永井先生に大感謝である。ピッチにはFWかな、MFにえりなとはるな、DFにゆめ。残るポジションは途中から全てを2年生が受け持ち、苦楽を共にした顔ぶれがピッチに揃った。マネージャーだったまなみもなんと途中出場し、隠れて(?)練習していた成果を発揮。ベンチに下がった1年生も自然と立ったままの応援。全てを目に焼き付けようとするような、不思議な一体感。ゴールシーンもオフサイドも、ポゼッションもパスミスも、全て今まで通り(笑)。ゲームが終わると全員が笑顔で握手を交わす。もちろん至学館の選手とも。ここまで、すべてのシーンが楽しかったゲームは無い。

安城フェス最後の最後、わがアンガクには珍しく…自分(たち)への挑戦心を忘れ、不毛な時間を過ごすゲームをしてしまった。ダメだったのは30分1本だけ。たかだかそれだけなのだが…それだけなのだけれど…少しずつ内容が良くなってきた新チームでも未だ時折姿を現す、あまりの心の弱さ。1年間の締めのゲームで…いや、だからというわけでは無いのだけど…ここまでアタマに来たのは…ここまで怒髪天に達したのは…思い出した!遡ること7期生チームの立ち上げ(世梨世代!)以来…およそ3年振りの…罰走。
問題点を抽出するために、いつも通り、ロジカル(論理的)に質問を投げる。しかし…答えられない…あるいは自分たちの、あまりの不甲斐なさに自責の念ばかりが先に立ち、悲観的な感情に押し潰されてしまったのか…言葉に出来ない選手、多数…。ようやく数人の2年生が口を開くも、自分の言葉で、自分の力で考えることが出来ない者が多すぎた。求め続けている主体者意識。そしてその圧倒的欠如。グランドでは他チームのゲームが行われている。…ならば、走ってきなさい。考えられないなら、汗をかいてきなさい。試合が終わるまで、走ってなさい…。
自問自答しながら、涙を堪えながら、悔しさに耐えながら。ゲーム終了のホイッスルが、別の意味をもってグランドに響く。

ある部員は、痛めている箇所が辛いので走りきれなかったのだけどそれが悔しい、少しアイシングしたらもう一度走りに行きます、と言う。別の部員は、走りながら考えていて、やっぱり周囲に頼りすぎている自分に大きな責任があったと思う、そこに考えが及びましたと言う。また、こういう機会は辛いけれど必要だと思うし今日をキッカケにして変化して欲しい、と仲間を想う声も出た。

罰走はキライだ。負の感情を根拠にした取り組みから、新しいエネルギーは生み出せない。そもそも力不足を痛感すべきは指導者にある。そこに至るまでの時間に何らかの指導ミスがあるのだろうから…。指導者も猛省を忘れてはいけない。そして一番難しいのが、そこから何らかの学びを見付け、次の一歩を踏み出すことにある。それが出来れば、その罰走も…自分(たち)の弱さと訣別するために…いわば決意表明のような意味合いに昇華出来ると思う。

リーグ、最終節。

天候の事情により延期されていた高校リーグ1部の残り1試合、対松蔭が実施された。今年度のリーグにおいて、すでに第3位を確定していたものの、それは3年生が出場してのモノであった。完全なる新チームになった今、どこと対戦してもさほどアドバンテージは無い。とはいえキックオフから時間の経過とともにボールを支配する場面が増えていく。ここ2、3年かけてボールを大事にするサッカーに継続して取り組んでいる好影響と見た。予想以上に良い展開。
前半を互いにスコアレスで終え、勝負の後半へ。9分。ミドルサード左サイドで相手のミスキックを奪ったきゃらがコントロールし丁寧にあゆみへインサイドパス。スルスルッと平行に上がったふたかなを横目に思い切って右足を振り抜く。ミドルレンジで狙ったシュートはゴール手前で松蔭DFの壁に阻まれるもボールは跳ね返りを予測していたふたかなの足元へ。これまたダイレクトに、しかし強さをコントロールして右足インステップをハーフスイング。ゴール左サイドを揺らすファインゴール。スペースがあれば多少の距離があってもチャレンジする。出し手と受け手以外が次の展開を予測してタイミングよく飛び込んでいく。積み重ねているトレーニングが2つ同時に結実した、アンガクらしい素晴らしいゴールで1-0。その後も落ち着いたゲーム運び。新チームでのリーグ最終節となったが、終わってみれば相変わらずの最小得失点差で勝利。
これで全節終えて5勝1敗1分の1部リーグ第3位。総失点2がひときわ輝く。次年度は今年度同様に実施されるのであればプリンセスリーグ参加の可能性も高い。静岡、三重、岐阜の全国レベルに挑戦する場が与えられる。そしてもちろん聖カピタニオと椙山という県2強と真剣勝負する機会が増える。それが最高のご褒美かもしれない。経験者を軸にしながら高校から始めた初心者も見事な戦力として噛み合う歯車になり、そして強豪校に立ち向かう。安城学園女子サッカー部の存在意義はそこにある。「学び合う関係でなければ本当の仲間ではない」とはよく言ったものだ。いかに多くの仲間とサッカーが出来るか。サッカーを通じて仲間をつくれるか。来年もサッカーの力を信じていこう。

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