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顧問の独り言 2020年8月号

「2つの敗戦と原点回帰。」ー夏の大会、練習会、皇后杯ー

先月の長雨が恋しくなるほど連日の灼熱。自粛と共存の狭間で苦心しつつも顔を上げて前を見据えた今月を振り返る。

8月1日、通称夏の大会(正式名称は愛知県高等学校女子サッカー大会)の三回戦。シード校はここが初戦となる。昨年度2月の新人戦決勝以来、久しぶりの公式戦は一宮商業と。経験者初心者問わずサッカー的な刺激を与えて成長を促す中村・池田両先生のコンビも気がつけばもう随分と経ったのではないだろうか。私学台頭が顕著になった愛知において、公立ながら8強常連は見事だと思う。だからこそ私たちも集中して挑まなければならない。そんな話をしてピッチに送り込んだ。アンガクのチーム力を十分に受け止めた上での守備手法に戸惑いつつも前半2点(マナカ、ホノカ)、後半3点(ホノカ×2、ヒロナ)の計5得点で三回戦を突破した。ちなみにキックオフ前の円陣で「無傷!」と叫んだホノカは戦術的に執拗なマークを試合中受けながらもハットトリックと無傷を達成。良かった良かった。

8月8日、準決勝はvs至学館。この段階で当たるのは新人戦と同様。勝利を目指す気持ちがいつも以上に高まっている様子の指揮官永井先生。上がり調子の至学館に対してどれだけ流れを渡さずに、主導権を握れるかが焦点。
1stゴールは前半8分、至学館。アンガクが得意とすべき空中戦で虚を突かれてしまった格好。一気に湧く至学館に対し、失点のショックはありつつも冷静に声をかける安城学園。するとその5分後に左サイドから決して簡単ではない角度をリナが仕留めて同点に。
後半に入ると球際は一層激しく、しかしフェアな戦いぶりが続く。両チームの持ち味が多く見られるも、徐々に決定機に近づくシーンが増え始めた。そんな中、スコアが動いたのは後半26分。激しさの増した中盤でボールを奪い、一気にペネトレイトに成功。リナからホノカ、そしてヒロナへ。地上と空間、パスワークとテクニカルな連動で大きな1点をモノにした。そして終了間際にはアズが”らしい”決定的な追加点。3−1。至学館の成長を目の当たりにしながらも力強く決勝へ名乗りを上げることができた。

8月10日、ファイナル。これまた新人戦同様、聖カピタニオとの決勝戦である。互いに勝手を知った両チームだがいくつかの新戦力がピッチに並ぶカピタニオの充実ぶりに大きな苦労をすることは織り込み済みだった。立ち上がりは決して悪くなかった。むしろポジティブな印象が多い時間帯でもあった。だが数回あったチャンスを決められないと徐々にカピタニオのペースになっていく。それでも前半は互いにスコアレス。
後半に入り、中央で攻守のギアが上がり、守備にエネルギーを割くことがふえてきた。後手に回ると、これほど厄介な対戦相手はいない。後半7分、そして9分に連続被弾。劣勢の中では暑さもさらに堪える。それでもまだまだ負けじと意地になって応戦。ビハインドの2点が大きくプレッシャーになるものの、鋭さを増したカウンターでゴールに向かう。すると後半アディショナルタイム。サイドの突破からナナのクロス。リオンが飛び込んで最後はリナ。ギリギリでも諦めないチーム力がついてきた、誇らしいゴール。しかし1点差に詰め寄るもタイムアップ。2大会連覇は惜しくもならず。準優勝で幕を閉じた夏の大会であった。
非常に悔しい敗戦。だが高校選手権に向けて今一度気持ちと取り組みを高めていく上では、挑戦心を呼び起こすいいキッカケになるとも思う。倒れたら起き上がればいい。今までもずっとそうしてきたのだから。

18日から22日まで学校見学会と体験入部。通常練習への関わりも含めて今年度は27名(のべ40名!)の参加をいただいた。複数回参加した者も例年以上に多く、そのモチベーションに高校生も大きな元気をもらった。熱中症対策に苦心した面もあったが精一杯のプレーをしてくれる中学生に、未来のアンガクの姿が見えた(ような気がする笑)。ちなみに第2回は9月12日(土)に実施予定。今月来そびれたという人はぜひご参加を(もちろん「8月来たけどもう一度」という人も大歓迎です笑)。

そんな見学会全日程を終えた翌日、23日は皇后杯予選。今大会はサッカー協会主催であり、コロナウイルス対策と熱中症対策の両輪が必要であった。実施そのものが危ぶまれる事態でもあったが、県サッカー協会女子委員会の井上委員長をはじめとしてスタッフの皆さんに尽力いただき開催にこぎつけることができた。観客の入場禁止など普段だと徹底しずらいこともやり切ることで、協会の皆さんもひとまず安堵していたようだった。本当にお疲れ様でしたと感謝をお伝えしたい。
さて試合はというとテラスポ鶴舞にて中京大学と対戦。奇しくも昨年度と同じ顔合わせ。ここ数年、特に戦力の充実している中京大学とどのような戦いぶりができたか。結果的には2−3の敗戦。とはいえ内容的には見所の多い好ゲームであったと自負している。采配一つで結果を動かせたかもしれないかと思うと、指導者としての自己反省に尽きるのだが、選手の奮闘ぶりには勇気の出るものが多かった。

なぜ、選手は躍動できたのか。
思えば夏の大会を準優勝で終えて、準備期間というほどの時間も無く、改善に向けた取り組みもほとんど出来ぬまま当日を迎えた。無論、頭の中では何度も何度もスクラップ&ビルドを繰り返し、チームに対してどのようなアプローチが必要なのか自問自答を繰り返した。そのなかで達したのは”私たちは何を大切にして戦うのか”という、いわば「アンガク・イズム」を思い出すことの必要性。会場に到着し、カンテラ号の中で伝えたことは、言葉数は多いものの極めてシンプル。部員にしてみればこれまで何度も何度も耳にしたフレーズばかり。だが、自分たちの「表現したい!」という思いが強すぎて少し複雑に絡まりすぎた”アンガクのサッカー”の根底にあるモノは至極シンプル、そして不可欠な要素ばかりだと伝えることが出来たのだ。何より、そういう私の思考を受け止め、ピッチですぐに表現できる賢さと逞しさが嬉しかった。大切なことに気づくことがこのタイミングで出来た!このことに大きな価値があると私は思う。

9月中旬から高校選手権の県予選が開幕。
10月には決勝リーグ、11月に東海地区予選。そして2021年1月、全国高校選手権。

楽しみになってきた。

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