遠征先では強豪相手に勝てない中でも善戦し、県内ではそれなりの勝率と内容をキープしている。だからこその慢心。もう一度チームを引き締めるには、どこかで痛い目に合う必要があるのかもしれない。ずっとそう思って来た。少しずつ、しかし気付かないうちに確実に染み入ってくる『これくらいで勝てるんじゃないだろうか』という甘ったるさと決別するには8月の県選手権一回戦敗退は…チームと私にとって、いわば〝必要悪〟だった。
8月下旬、体験入部を挟みながら再始動したチームは9月に入り再び活気づく。苦しみながら前を向き、ゆっくり確実に結束を強めていく。
6日、県高校1部リーグで松蔭と対戦。延期分の実施。警報が発令されてもおかしくないほどの大雨の中、会場校春日井商業部員の献身的なグランド作りにはただただ感謝しかない。とはいえ全く降り止む気配がない天候…、ウォーミングアップ終了頃はグランド表面が完全に雨水で覆われた環境になってしまった。当然ながらこの環境にマッチした戦い方を指示し、キックオフ。ベンチで観戦しつつ得点も失点もゴール前のどさくさになるかな…と思っていた矢先、先制点は意外にもミドルレンジから、はるかの鋭いインステップで決まった。ヒマさえあれば…いや、時間を作ってでもひたすらやり続ける、こだわりのトレーニングが生んだ得点にベンチもメンバーも喜びと称賛の声を上げる。2点目もミドル。今度は菜々花。その後も攻撃的に試合を進めることが出来た。まず前半を終え、4得点すべてが中央もしくはミドルレンジ。では後半はアウトサイドを積極的に攻略してみようという意思統一。するとこれがバイタルのメイクスペースに繋がり、左右から見事な展開力を発揮。全く勢いの衰えない雨足であったが後半も同じく4ゴール。ありえないほどの雨量と粘り強くて野心的な対戦相手を前にし、8-0での勝利はその内容も含めて正しい評価をしなくてはいけない。
高校選手権、開幕。アンガクに限らずどこのチームでも、最も多くの苦楽を経験し、そして愛知県高校女子サッカーを支え続けた各高校の3年生が輝くことの出来る最後の大会。アンガクは予選リーグで時習館、菊里と同グループに。
20日、対時習館。数年前には4強辺りまで勝ち進むことが常だった知性溢れる古豪。率いる金田先生とも久しぶりの対面。初戦独特の緊張もあるし、アンガク的視点からするとなにより受験や進路関係、そして大怪我もあり大勢が抜けた、いわゆるベストが組めない試合。とはいえ、およそ一か月前から多くの選手起用パターンとポジションを試すことが出来、それを全力で試す時が来た。不安と緊張よりワクワク感が優ったキックオフ直前だったと思う。
前後半ともに7点ずつ、計14-0で初戦を飾った。得点パターンが様々なカタチで演出できたこと。得点者が5人いたこと。そして普段はなかなかピッチで躍動することが出来ない選手がアシストを記録するなど素晴らしい役割を果たしたことを特筆したい。幾つかのミスはあったが全て積極的にプレーした中で発生したことであったし、何よりも、そういった瞬間に複数の選手が次の選択肢を用意したり、危機管理のスタンバイをし続けたことも素晴らしかった。
21日、県高校リーグ1部、対聖カピタニオ女子。これも延期分の実施。残り試合数や他チームの勝ち点を考えると、この試合に勝った方が今年度県高校リーグ1部の覇者となる、事実上の決勝。勝ち点計算をすると引き分け狙いで優勝を目指す、という選択肢もあるにはあったが、私とチームにその発想は全く無し。今のチーム力をぶつけられるか、その上で何が出来るのか、何がまだ足りないのか。それをはかるための重要な一戦。
前半8分に失点。淡泊な守備を見逃すカピタではない。要所を締められず前半で0-4。攻撃に関してもなかなか糸口が見つけにくい30分であった。プレーポジションにおける幾つかの修正点とメンバー交代を施して後半は0-0。後半開始早々の速攻は実に惜しかったし、相手のミスに乗じてカピタにヒヤッとさせる場面も作れたように思う。いずれにしても更にトレーニングの質と取り組む姿勢で成長を促すように私自身が仕向
けて行かなくてはならない。また練習のギヤを上げることになる。試合後には〝全国8強〟多田先生と一か月後の再戦(高校選手権県決勝)を誓い合って握手、互いのお腹の出具合をチェックし合い、笑顔で毒舌を吐く『これだから尾張地区は~』(笑)。これも恒例行事。
勝利をとことん目指して…それでもまだまだ勝てなくて…この立ち位置が、悔しくて悔しくてまたグランドに向かう…こういう気持ちにさせてくれる多田先生とカピタの、本当のライバルに、早くなりたい。
22日、再び高校選手権予選リーグ。第2節、対菊里。これまで幾度も苦労させられた対戦相手であり、部員の潜在能力と諦めないメンタリティーは特筆すべきチームである。結果的に3連戦となった最後の一日。とにかく前半の戦い方で自ら難しい試合にしてしまった。れおなのダイナミックな突破とほのかのコーナーキックからリフレクトをコンパクトに蹴り込んだゆきよのゴールは素晴らしかった。しかし攻守がチグハグで噛み合わないシーン多数。疲れのせいか、無意識のうちに楽をして勝とうとしているようにみえた。前半で2-0。しかしスコアの問題ではなく甘ったるい試合だけは部員にさせたくない。それはアンガクとしてやってはいけない時間の過ごし方だ。必然、ハーフタイムで私がかける言葉は厳しいものになる。個が勝手にネジを弛めるのは許さない。誰が出ようとピッチに立つ11人がファイトし続けなくてはいけない。後半のキーワードは〝30分間走〟。出場した選手は心を奮い立たせて見事にやり切った。後半5得点という数字以上にピッチを縦横無尽に走り回り、ボールを動かし続けた。まだまだボタンのかけ違いはあるものの前半と後半で明らかに異なる戦い方が表現出来た。試合後、7-0のスコアに関わらず、自分たちの不甲斐なさに涙する者もいたがそれもまた次のエネルギーにすればいい。
これで予選グループリーグを6大会連続(2013年新人戦~)首位通過。10月から始まる決勝トーナメント一回戦はシードとなり、準々決勝から出場となる。甘さを無くして、どこまで進めるか。足元をしっかり踏みしめながら、視線は前へ。夢は尽きない。
そういえばとても大事な独り言を忘れていた!学校見学会&体験入部のこと。去る8月26日と27日に第1回見学会が行われ、学校全体では両日合わせて約2300人が参加してくれた。毎年のことながら体育館がいっぱいになり、更に各教室も中学生で満タンになる光景は…圧巻である。そんな中、わが女子サッカー部には2日間で計27名の中学生と5名の保護者が参加くださり、暑さと疲れと時間を忘れ、一心不乱にボールを追いかけ楽しくコミュニケーションをとってくれた。高校生部員もこの時ばかりは日頃のストイックさを一休みし、終始笑顔&いつも以上のオーバーアクション(笑)で中学生と楽しむことが出来た様子。時間の経過とともに参加者を覚え、ミニゲームではどんどん名前を呼んで(叫んで?)上手くいくとハイタッチ。こういう空気感を作ることが出来るようになると、内面的成長を感じるというか…少しお姉さんっぽく見えてくるから面白い。
「中学3年生のサッカーがしたい皆さん!今後のスケジュールは②10月17日③11月7日④11月28日(すべて土曜日)です。ただし公式戦の都合で体験入部が実施出来ない日もあるかもしれませんので要注意!本気で〝アンガクで女子サッカー〟を考えている人、まだ体験入部に参加していない人はまずは早目に連絡をくださいね~♪可愛い(?!)先輩が待ってますよ~♪」 優しい(?!)顧問より
9/25と26、両日で本校学園祭(こう見えて生徒会顧問。マジである)。心配だった天気も何とか回復。女子サッカー部模擬店は今年度から自家製タピオカドリンク(レシピ必要な方、連絡ください笑)に変更。初めての手作りに不安が付きまとったが長時間に渡る作戦会議(レジュメ3枚とレシピメモ2枚で1時間超。マジである)と乾燥タピオカを自宅に持ち帰り仕込みに奮闘した部員のおかげかアンガクオンリーの初日は45分で完売!一般招待となった二日目は初日の噂を聞きつけたのか開店前に何と100人が並ぶ大行列(大げさではない。マジである)!!。結果、用意した300杯をお昼前に完売できた。ピッチでサッカーを学び苦労を共有し、そしてこういう場でも協力し合って達成感を共有し合う(もちろん疲労も共有するわけだが)。盛り沢山の9月を締めくくる楽しいひとときであった。そして私は…新しいTシャツのデザインを考えなくてはいけない。あー忙しい忙しい。