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顧問の独り言 2013年10月号Part2

予選リーグ。

10月12日、対春日井商業高校。借りにこの試合を落としても得失点差を考えると7点差までなら決勝トーナメントに進出できる。決勝トーナメント進出を目標にしているわけではないが、こういう試合はモチベーションの位置づけが難しくなる場合もある。設定したのは“オフェンスを軸にしたフォーメーショントレーニング”としてもの。トレーニングであれば、いつもと同じように修正点を自分たちで常に認識し、次のプレーで生かさないといけない。まさに“M-T-Mメソッド”であり“トライ&エラー”である。結果、インプレー中はもちろんだが、ハーフタイムの笛が鳴った瞬間からメンバー全員が2人か3人で話し合いながらベンチへ戻ってきた。その話し合いはやはりいつも通り、ベンチで給水をしながらもゆっくりと続く。どうやら不安に思う必要はないようだ。
得点経過は前半左サイド、スローインのスリップからダイナミックな突破を図ったはるなから絶妙なクロス。そこに自信を持って飛び込んだかなが左足で蹴り込み先制。続いて右CK。あゆみの狙い通りのキックに動きに中の動きを合わせるが、ボールはきれいな弧を描き直接吸い込まれて2点目。後半にはこれまた練習通りの位置でフリーキックを獲得。狙い澄ましたきゃらの左足で叩き込んで3点目をゲット。ポゼッションから崩すカタチでは良い結果を提示できなかったが、それもまた新たな課題としてトレーニングしていけば良い。3-0。勝ち点4を追加。
これで予選リーグF組を2位通過。次節から決勝トーナメント。

10月19日、対松蔭高校。率いる川端先生は大先輩であるが、そういったことを感じさせないほど常に寛容であり常に温かい。リーグでしのぎを削る仲ではあるが良い意味で常に好敵手だと勝手に感じている。互いに認め合ってフェアなプレーで全力を尽くし合う。県内にそういう関係性をもつ相手が多くいるのが愛知県高校女子サッカーの素晴らしいところだと思う。
試合開始から最終ラインを含めたポゼッションで優位に運ぶ。しかし松蔭も中心選手を軸に粘り強くマッチアップを挑んでくる。そう簡単にはゴールを割れない。
こういう、ジリジリするような試合展開ではやはりセットプレーがモノを言う。前半の2得点は両方ともコーナーキック。1点目はドンピシャではなかったがこぼれに反応するのも大きなテーマとして取り組んできた。ゆきよが詰めきったのは偶然ではなく必然である。2点目を決めたのは左SBのきゃら。実はこれにはあるいきさつがある。当初、CKでの動きにきゃらは入っていなかった。トレーニングや試合を重ねるうちに部員のバスミーティングで「もう一人、中の動きを増やしたい」「きゃらにその役割を任せられないか」という声が出てきた。指導者の掌(てのひら)の上だけで力をつけるのではなく、自分たちで戦い方を決めた瞬間。こういう前向きな言葉は絶対に聞き逃してはいけない。それなりに場数を踏んできた経験値と、想定される自分たちの伸び率。それが、この試合の決定的な2点目を生んだ。
決勝トーナメント、苦しい時間帯もありながら2-0で勝利。次は準々決勝、対椙山女学園。

10月20日、対椙山。
昨年度の新人戦予選リーグは10人で何とか凌いで0-0PK負け。今度に入り総体予選リーグでゾーンディフェンスに取り組み組織的に守抜くも0-1惜敗。高校リーグ1部では攻め込むシーンも多くあったがネットを揺らせず再び0-1、リーグ戦唯一の黒星を喫した。つまり今年のメンバーには常に椙山女学園の高い壁が存在したことになる。そしてまた、最後の最後に…。予選リーグでPK負けを喫したのはここで椙山と勝負するためだったのかな、と少し自嘲気味に勘ぐりたくなるほど、今のチームは椙山との戦いを経験して、苦汁を舐め、そして成長してきた

二日連続のゲームとなったメンバーには大雨のコンディションはやはり堪える。それでも今回はこれまでと違い2ラインに拘らず、アグレッシブに前から行こうと決意。前半6分にチェックに行きそこね、久しぶりの失点。しかし、その後の猛攻には必死の抵抗をみせ、前半は0-1で終えた。ただ、攻撃に関してはなかなか狙い通りにいかない。やはり盤石の布陣を敷く椙山の前には歯が立たないのか。
ハーフタイムには、これまで積み上げてきたサイド攻撃を指示。サイドハーフのポジショニングを修正しなければ…と話した。ただ、1失点は覚悟していたよ、勝つなら2-1だと思ってたよ、と話すと笑顔も見せてくれる。最後に一言。「先生は最後まで皆を信じようと思う」。これで十分。戦う姿勢を整えなおす。

点を取ろうという意欲は今大会で一番感じることが出来た。圧倒的な戦力を誇り、更なる戦術的成長すら遂げようとしている椙山を前に怯むことなく全力で、死にもの狂いで立ち向かった。CKから何とか1点もぎ取ろうとしたが、逆襲を受け失点を喫するも、攻撃のために一秒も無駄に出来ないと、キャプテンふたかなが走ってボールをセット。やってはいけない失点に一瞬天を仰ぐ者もいたが、そんな暇はないと互いに鼓舞する。
時間の経過とともにサイド攻撃も徐々に機能し始める。何より、ひとつのボールに対する執着心で椙山に負けなかった、と思う。両チームとも大雨にさらされて、何度もピッチに倒れてドロドロになりながら、本当に美しい戦い。

試合終了。0-4、悔しいが完敗。負けたことは本当に悔しいが、どう戦ったかという意味では不思議と悔いはない。全力で戦えとよく人は言うが、本当の意味で全力で戦うことはなかなか難しい。しかしこの日のアンガクは文字通り、すべての力で戦った。出し尽くした。毎日一番近いところで見ていた私が言うのだから間違いない。だから、負けたことは悔しいが、戦いきった内容に、本当に悔いはない。素晴らしいファイトだった。

10月22日、新チーム練習開始。程よい緊張感、みなぎるやる気。しかし…やっぱり失敗ばかり(笑)。それでも3年生5人の積み重ねたチーム力を私たち後輩が繋げていこうという意識はある、とみた。またひとつずつ積み上げていくしかない。5人がやってくれたように、これからも。

10月23日、さよならミーティング。はるな、ゆめ、えりな、まなみ、かな。3年生5人が言葉を紡ぐ。後輩への激励、感謝。仲間への思い。そしてサッカーと女子サッカー部から学んだこと。
出てくるエピソードの多さは、時間の濃密さと比例する。

毎日グランドで会うことが本当に楽しい8期生だった。会えなくなるのは本当に寂しいがそれは後輩部員にとっても同じこと。ぐっとこらえて前を向いて。さあ、これからも頑張るぞ安城学園高校女子サッカー部!

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