一年前に初めて経験した東海地区予選。2回目の挑戦が始まった。
県予選の決勝トーナメント最終節(10/21)から1週間。(独り言だから書いてしまうが)ここまで心が苦しかったのは久しぶりだった。余りにも思い通りに運べなかった試合が、気持ちを切り替えようとするアンガクの足を引っ張った1週間。無論、部員誰かに原因があるわけでは無い。ただ…積み上げた総合力を発揮できなかったことが、私(たち)を自虐的かつ刹那的にする。部員は不安や自失の念を振り切るようにしてトレーニングに励んだ。それでも…ちょっとした合間には、やり切れない空気があったことも素直に認めたいと思う。
東海地区予選開幕1週間前となる10月最終週には久しぶりにゲームを入れず、PNFC講習を実施。年内ラストと思われる台風を目前に『果たして新幹線は動くのかしら…』と少々焦りつつ(笑)いつもの笑顔で来てくれた久保さん。部員をいつもの安城青少年の家に送り出したあと(繰り返すが台風の影響が予測できたこの日。部員の送迎にカンテラ号が出動したのだ!)実施内容を久保さんと最終確認しながら、不安定でバラツキがあると感じていたメンタリティーを打ち明けた。その瞬間どう受け止めてくれたかは不明だが、いつにも増してエネルギッシュに、そしてにこやかにステップトレーニングは行われた。より心拍数の上がりそうなステップメニューに対し、部員全員が真剣味と笑顔をもって取り組む。身体の使い方にも以前とは比べものにならないほど慣れてきて、動かし方が楽しくなって来た、という印象。そんな様子を見ながら、ふとした瞬間に気がついた。〝次〟に目を向けられていなかったのは部員ではなく私なんだと。指導者としてあるまじき、恥ずべき失態。弱い自分を認め、受け入れよう。共に歩む部員たちと、もう1週間準備ができる。それだけで、充分じゃないか。
11月4日、高校選手権東海地区予選初日。一回戦が行われた豊田・柳川瀬公園サッカー場に到着すると南山中高と椙山女学園の見慣れた部員が大勢準備をし、だれもが気持ちよく挨拶してくれた。本部には南山梅垣先生を筆頭に椙山三浦&林先生。愛知が開催地ということでここまで骨を折っていただいた安藤・前女子委員長、そして森田審判委員長も。お名前を全て挙げられず恐縮だが、とにかくオール愛知で他県を歓迎し、良い大会にしようという意気込みが会場全体を包む。高低差のある観客席がないということで本部の逆側には保護者エリアの設置まで。これは井上委員長の温かいアイデアもあったそうだ。とにかく舞台は最高の環境。あとはプレーで恩返しをしなくては。
三重の田中先生とグランドで1年ぶりのご挨拶。実は数回LigaStudent等で互いにマッチメイクをしたものの、天候など諸事情で結果的に全て流れてしまっていた。だから本当に1年ぶりの対戦なのだ。全国出場経験のある三重高校に対して、いかに戦うか…。普段なら「どうスか、チームの調子は??」などと軽口を叩くのだが、この日はなぜだかそれすら言えず…(苦笑)。
11:00、定刻通りキックオフ。大方の予測と裏腹に、まずはアンガクが攻勢に出た。小気味好く中盤を経由して持ち味を発揮する。トレーニングの成果が出たシーン。しかしそうした流れを一旦受け止めた三重がアンガクのミスを見逃さない。ポジショニングの甘さがあったとはいえその決定力は見事であった。先制を許し、0-1。その後主導権争いが交錯する中、前半31分にレオナが突破、GKとの1対1を制し同点に追いつく。1-1の同点でハーフタイムへ。
前半始まって僅かな時間が経った頃、突然アンガクの応援が始まった。この日は第2試合にカピタにとっても大事な試合がある。だから、まさか〝あの応援〟は無いものだと思っていた。アンガク横断幕に陣取るロッソネロの人波が、今日もまた私たちに大きな勇気をくれた。それは昨年にも増して…。選手の名前を叫ぶコールで闘志に火がつき、ウェアの色を歌詞に当ててくれた応援歌は苦しい時間帯に私たちのプライドを思い出させてくれた。一進一退の攻防の中、アンガクを支える力になってくれたことは間違いない。もう本当に…心から感謝しかない。
前半からの修正すべき点を伝え、風の強さに注意を促す。そして勝負の後半へ。
一層強まって来た風の中、攻守の切り替えも激しさを増す。後半7分、わずかなほころびから流れたボールは三重高校選手の足元へ。すかさず出されたスルーパスでGKいまみさが1対1を余儀なくされてしまう。必死で抵抗するもサイドネットを揺らされてしまった。1-2、再びビハインド。
それでも十分戦えていたので決して焦りはなかった。ただ、個々の体力が奪われ始めると連動性という点では徐々にトーンダウンしかねない。そんな中、後半17分に再び歓喜が。センター辺りからのペネトレイトで、最後は切り返す余裕も見せたレオナ。この日2得点目となる活躍で試合を振り出しに戻すことに成功。
その後、好機より劣勢のシーンが増えたのはアンガクがどうこうというよりも三重イレブンの魂が素晴らしかったからと認めるべきだ。ただ、決定的な場面にまで至らず済んだのは…1年前の経験が脈々と受け継がれているからだった。〝あの試合〟があったから、〝この試合〟があるのだ。
3分間のアディショナルタイムも終え、結果は2-2ドロー。勝敗はとうとうPK戦へ…。コンディションを考慮し順番を少し変えたが、とにかくキッカーは素晴らしかった。この舞台で、あれだけ集中できたことに成長を感じる。そして何と言っても…GKいまみさ!魂こもったセービングで勝利をたぐり寄せてくれた。試合終了…2(4PK1)2、東海地区ベスト4進出。
東海地区予選、残すところ、あと2試合。1つ勝てば…全国。
乞うご期待。