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顧問の独り言 2019年10月号Part2

『安城学園、かく戦えり。』ー 高校選手権第2節 vs聖カピタニオ女子  

第1節を終えて翌々日の16日。この日の練習、私には少し覇気なく見えた。無論、メニューはきっちりこなしているし、欠席する者も当然いない。ただ、19日に控えた第2節へ立ち向かうような熱気は伝わってこなかった。いくら実戦的なトレーニングをしていても判断ミスが起きないレベルのプレッシャーしかかけていなければ、そして互いに遠慮がちなスプリントを繰り返し、プレーの勢いを削いでいては、もはやそれは、時間の浪費でしかない。
前十字靭帯を断裂しリハビリに明け暮れるキャプテンのリンは、その様子を観てどう感じただろう。9月上旬に受傷し、メスを入れれば復帰までに数ヶ月かかってしまう。その手術を後回しにする決断をして保存療法を選択。わずかでも自分の出番を信じて待つ心に、この日のピッチはどのように映っていただろう。ピッチ上、少し離れたところではトップメンバーから漏れた3年生たちが、それでも基本練習に明け暮れていた。休憩も入れず脇目も振らず息を切らしながら、ただ黙々と。少しでも上達し、紅白戦の質を上げることがチームに貢献できる唯一の方法だと信じる3年控えメンバーに、歯がゆさを与えていなかっただろうか。
私の説教など、これこそ時間の浪費であり愚の骨頂だ。でも言わなければならない瞬間もある。まだ可能性はゼロではない、にも関わらず本気で勝利を目指し、諦めずにトレーニングしているのか、アンガクはこんなもんなのか、と。こんな取り組みならば、やらずに帰る方がいいと。

今シーズンは歴代と比較しても上下の関係がすこぶる良い。3年が2年の力量と経験値を心底認め、2年が3年の取り組み全てを尊敬する。その様子を1年生が憧れの眼差しで見る。あらゆるときに、それはあった。だから、というわけではないが最後の大会に向けて気持ちを表現する場面が本当に多い。応援コメントに彩られた映像をこだわって作ったり、お守りを丁寧に可愛く作ってプレゼントしたり。大怪我のリンのために私の知らないところで千羽鶴も折られていた。いつの間にか、数多くの場面でそうして表現された互いを大切にする心、チームを大切にする心。だが一番大事なのはピッチに立つ者が覚悟すること、チームを代表して勝負を挑むという熱なんじゃないのか。練習終わりにそう告げると、この日の練習を悔いる姿があった。

19日、第2節。聖カピタニオ女子との一戦。前節のことがあったからか、キックオフの瞬間は少しだけ慎重な入り方。だがそのあとは猛々しく戦った。とはいえその上を行かれてしまった。公式記録によるとシュート本数はカピタニオの15本に対しアンガクはわずか3本。CKはカピタニオ7本、アンガク1本。直接FKはカピタ4本に対しアンガク8本、ということはそれだけのプレスをカピタニオが掛けてきたとも言える。強いカピタニオの本気の守備が、そこにあった。
それでも試合は動かなかった。前半はスコアレス。怯えることなく真っ向から受け止め、跳ね返す力を見せる事ができた。ゲームの流れ、支配率は7:3あるいは8:2でカピタニオ。よく食い止めたというのが前半終えての率直な感想。
後半に入っても趨勢は変わらず。攻め入るカピタ、決壊しないアンガク。そんななか、44分セットプレー。直前、至近距離からの突き刺すようなクロスをヘッドで跳ね返した後のCK。だからこそ、一切の油断は無かった。プラン通りのポジショニングで、このシーンも跳ね返せる、はずだった。
これ以上はないと言っていいような放物線がファーサイドのネットに吸い込まれてしまった。歓喜のカピタニオ。しかし私自身驚いたのはアンガクが一切下を向かなかったことだ。ここまでの奮闘をいつの間にか自信にし、戦う集団として最後まで向き合う力を手に入れた。
数少ないカウンターの機会に、鋭く攻め入った。あわや、というシーンもあった。だがネットが揺らせない。最後の瞬間まで、意地と意地のぶつかり合いがそこにはあった。
そして、ホイッスル。0-1。

ここまで抵抗できた、凌ぎきったという妙な充足感もある。失ったのはセットプレーでダイレクトに飛び込んだ1点のみ。だが、だからこその悔しさ。反面、得点を奪いきる余力がチームに無かったのも悔しいが事実。それだけカピタニオの凄みを体感した。
残すは最終節。あと一週間、どう過ごすか。

第2節終了。
首位 聖カピタニオ 勝ち点8 得失点+6
二位 豊川     勝ち点8 得失点+4
三位 安城学園   勝ち点0 得失点-2
四位 愛知啓成   勝ち点0 得失点-8

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