皇后杯準々決勝でカピタニオに0-1の惜敗を喫して数日、学校宛に一本の電話が入った。この日はちょうど受け持つ授業も比較的少なく、少しのんびりしていた。それを見越したかのように絶妙なタイミング。電話口からは少し緊張しながらも真面目な人柄が伝わってきた。聞くと青年海外協力隊としてアフリカ某国で女子サッカーを指導する、これまでずっとサッカーには取り組んできたが女子サッカーと関わったことは全くない、どこかの女子チームで勉強してきなさいとJICAからお達しがあり、実は皇后杯予選準々決勝の全試合をスタンドから観戦していた、安城学園に興味が湧いた、ついてはぜひ学ばせてくれないか、云々かんぬん。正直言うと最初は〝…おいおい、面倒は勘弁してくれ〟と思っていた、が残念ながらこの日の私には時間があった(笑)。普段ならやんわり(そしてきっぱり)断るであろう話を最後まで聞いてしまったのだ。そしてこれが、たった三日間だがチームの時間(と顧問のリアル独り言)を共有してくれた某教育系国立大学3年のNくんと出会ったきっかけである。
私から指定した三日間のスケジュール、だったにもかかわらず私が初日から遅れてしまった。しょうがない、そういう仕事なんだもん…と半ば開き直って遅れること1時間ほど。いつもの多目的に到着すると爽やかに駆け寄ってきたNくん。簡単に挨拶を済ませ、さっそく事情聴取(笑)。ピッチに視線をやりながら互いのサッカー観をゆっくりと、しかし確実に紐解いていく。サッカー人としての熱い思いや青年指導者(彼はすでに高校年代の指導をしているのだ)特有の〝空回りあるある〟に笑いを添えながら聴きすすめるにつれ、個としてのバックボーンにも興味が湧いた。
事前の約束事として〝ピッチに入るのはOK、指導はNOだが熱心な見学はOK〟と話しておいた。ルーティンメニューからハードワークを課す内容にいたるまで、大したバリエーションではなかったが随分と熱心にメモを取り、時には〝Nくん、もしかしてトレーニングの順番待ち?〟というくらい近いところに行くことも。若いって良いなぁ、うん。
訪れた三日間、練習後も雑談は続いた。〝サッカー観のある、ビジョンのある指導者になるためにはどう学べば良いか、どんな本を読むべきか?〟〝男子サッカーと女子サッカーの違いは?〟〝国民性を学ぶとは?〟などなど。そして、決して遠くはない将来どこでどう生きて行くか、についても。Nくんに言葉を発しながら、私自身が自分を振り返る作業であったのかもしれない。干支2周分も若い青年との出会いは、私にとっても大きな刺激であった。あのとき電話に出て、本当に良かった(笑)。
Nくんが彼の地に向けて出発するのはまだ少し先とのこと。
遠い場所から、多くの苦労と小さな成功、そして琴線に触れる経験が一つでも多く出来ることを心から願おう。頑張れNくん。
9/29には本校の学園祭。高校選手権大会日程の都合で、学園祭二日目を公欠しなくてはならず少し残念ではあったが、恒例のタピオカドリンクは例年通りの大盛況。過去最高の売上杯数を記録した。コミュニケーション能力にまだまだ自信が持てない下級生も2年生の力を借りながら大きな声を出していたのが嬉しかった。ちなみに売上金の使い途は部タオルを作ったりミニバッグを作ったりしようかな、と。完成したらこのウェブ上で報告予定、お楽しみに。
第26回全日本高等学校女子サッカー選手権愛知県大会。9月30日に4回戦が行われた。今年度からレギュレーションが大きく変わりシード4校(聖カピタニオ、アンガク、愛知啓成、豊川)はここから登場。
3回戦で粘りの時習館に対し前半スコアレスながら後半4得点で退けた椙山が相手。勝ち進んできたチームと戦うのは勢いという点では当然手強くなる。開始早々からアンガクが攻め立てるも前半のフィニッシュはことごとく相手GKの正面を突いてしまった。決してミスショットばかりだったというわけではなく、むしろ相手GKが〝当たっていた〟という感じ。さらに主力CBを中心にした、身を挺した守備力が相手チームながら素晴らしかった。しかし前半26分にナツキが先制の口火を切ると31分と33分にレオナが立て続けに決める。前半終えて3-0。後半に入っても攻撃の手を緩めないアンガク。6分にはオウンゴールを呼び込む的確なポジショニングとクロスボールの配球が成功。16分、23分、32分にはレオナが決めた。フィニッシャーこそ同じでも様々な形、変化をつけたポジションで攻撃の糸口を探ることができたのが好材料だった。チーム全体の勝利という認識になったのは交代カードを4枚使うことができたことも関係する。結果、4回戦を7-0で突破。再来週から上位4校による決勝リーグ(聖カピタニオ、アンガク、同朋、豊川)を迎える。