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顧問の独り言 2015年5月Part2

オカショー、シガクカン、カピタニオ。 -準々決勝、準決勝、決勝-

5月17日、準々決勝。対するは決勝トーナメント一回戦を勝ち上がった岡崎商業。公立高校の難しさは継続指導がしにくいことにあるのかもしれない。そのつど顧問の先生方はみな素晴らしい個性の持ち主で面倒見がよく熱心な方ばかり。だが女子サッカーの世界にどっぷりハマり始めた頃、転勤になる。一言でいえば…もったいない、せっかく仲間になったのに…。しかし顧問が変わったとはいえ、部員個々の技量だけで言えば全く侮れない。ただ、積み重ねた部分で考えればここは絶対に負けられない。プライドをもって戦った試合は終始支配するも相手GKや守備陣の奮闘も光り得点にこぎつけるのは容易ではなかった。前半2得点、後半3得点。交代カードも3枚使い、被シュートゼロの5-0でフィニッシュ。試合後には岡商で今後の主力になるであろう2年生の二人がわざわざ挨拶に来てくれた。なかなか爽やかな笑顔であった。ただ、人間は誰しも弱い。その爽やかさ、ひたむきさを一か月…三か月…半年…1年…とずっと継続し続けることが、本当の意味でのチーム力の裏付けになる、と思う。高校の部活動、として周囲から応援されるチーム作りを。がんばれ岡商。少し応援したくなってきた。

4強に名を連ねたのはカピタ、同朋、至学館、アンガク。5月24日、準決勝。会場となった松蔭高校での第1試合は同朋が持ち味を引き出しつつ奮闘するもカピタが貫録勝ち。一足先に決勝進出を決めた。チャンピオンチームへの挑戦権を手に入れるべく、第2試合キックオフ。
よく試合前に指導者同士、先生同士で良い試合をしましょう、とエールを送る。良い試合、とはどんな試合だろうと改めて考えてみる。私は〝互いのチームの良さ、持ち味、積み重ねたものが表現出来ている〟ゲームのことだと思う。
至学館がすでに手に入れていたメンタリティーの強さとボール際の戦う姿勢。これは思っていた通り。本当に素晴らしいレベルだった。メンタリティーを個性の問題で終わらせていては、そのチームに未来は無い。チームとしての取り組んだ時間の濃さや深さが如実に出る部分なのだから。そして、過去の対戦よりも更にレベルが上がっているなぁと思ったのは守備に関する個人戦術。『相手に対するアプローチの距離感』が上手くハマっていた(というか、ハメられた)。今大会、ここまで対戦したどのチームよりも、個の守備力(準備する力)が高く、そこのせめぎ合いが一番興味深かった。
後半終了間際、本当にラストプレー、至学館コーナーキック。ここで力強くはね返すことが出来ず、今大会初失点。幾つかのミスが失点につながったことは否めないが、そういう局面を引き出した愛すべき仲間を、ここは素直に認めるべきなのかもしれない。
今大会、毎試合ゴールを決めているしおりがこの日も2ゴール。ずいぶん厳しくマークされる中でも決めきる力は素晴らしく、個の力がクローズアップされがちだ。しかし周囲との連係に深みが出てきた部分を見落とすわけにはいかない。ひらめきと連動性。複数の選択肢と決断力。そして当然ながら個のスキル向上。こういった要素を表現出来たアンガクが、手前味噌だがまた誇らしい。
2-1で勝利し、2大会連続の決勝へ。今度こそ…の決意を胸に、いざ豊田へ。

予選リーグ開幕から早や一か月。毎週末に組まれるゲームのたびに正直胃が痛くなっていた。部員も同様。新人戦では一戦必勝の掛け声とともに、文字通り一つずつ、上位進出など全く(というと少しウソ。ほとんど)考えずに、気が付いたら決勝まで進んでいた。今回は…違う。絶対に決勝まで勝ち進まなければいけない、という自負。あえて自らに課したその目標にここまで気持ちの上で追い込まれるとは思っていなかった。力量が全く違うとはいえ、カピタニオは毎回こういう圧迫感をエネルギーに変えている…。本当にすごいチームだ…。

5月31日。通算2回目、2大会連続で決勝の場に立つ。余計な時間があるといろいろ考えてしまうが、いざ目前にくると何か吹っ切れたような気持ちになる。前回のように、会場の空気に飲まれるような過緊張は部員も顧問もほとんど無かった。いつも通り、黄色のオフィシャルに身を包み、いつも通り、最小限の指示をする。いつも通り、の心地良さ。
キックオフからアグレッシブで解放感に溢れたサッカーを展開出来たように思う。前半35分間、シュート数はカピタ5本、アンガク5本。バーに直撃したれおなのミドル弾や、相手ビルドアップに食い付いたしおりのプレーなど随所に沸くプレーも。しかし均衡は23分、あっけなく崩された。0-1。今までにないレベルで勝負を挑めていただけに一瞬の躊躇に未だ悔いが残る。前半を最少得点差で折り返し、勝負の後半。攻撃的な気持ちで選手を送り出す。

最近、練習最後の話が長くなる。ダメ指導者の典型だ(笑)。私自身、必要なことはトレーニングの最中に伝えるようにしている。あとからまとめて、なんていうのは記憶をたどるのが困難。だから瞬間的に伝えたり、場を見て一呼吸置いて話すようにしている。だから練習後に全体に対してじっくり…なんてことは必要ない日の方が本当は多い。それなのに最近は…長い。部員は一生懸命聞いているから、なおさら駄目だ(笑)。決勝を間近に控えた金曜日の練習後、やはり長い話。「応援幕の〝仲間のために、自分のために〟っていう言葉…試合の円陣の時の…みんなのセリフを使ったんだけど…これは5期生のキャプテンだった先輩が言い始めた言葉なんだよね…チームとしてはずいぶん耳慣れた言葉だけど、最近とても身に染みるなぁと…。ピッチに立てるのはたった11人だけなんだけど…毎日面倒を見てくれているマネージャーのゆの、出場機会を目指して頑張る部員…応援してくれる学校のクラスメート、他の部活で頑張っている子…学校の先生たちもそうだし、兄弟や家族も広い意味でいえば〝仲間〟だと思うよ…そういう仲間の存在を考えたらどれだけくたばっていてもあと少し走ることは出来るよね、絶対に最後まで諦めずに戦うことが出来るよね…」「先生は最近、妄想をしてる…決勝で勝って、ピッチでまず喜んで…でも気持ちをちょっと抑えて…で、グッとこらえながらマイクロバスに戻ってみんなが全員バスに乗ったのを確認して…ドアを閉めた瞬間に全員で大きく歓声を上げてシャンパンファイトをする!(一同笑)…あ、シャンパンは無理だから水かな…マイクロがビショビショに濡れるのは…先生がレンタカー屋さんに土下座して謝る!…そういう楽しい目標が、今の先生にはある!…」。気持ちの高まりを共有する。押し寄せる不安を打ち負かす。やるぞという気概がチームに染みわたる瞬間。長い話も、悪くない。ときどきなら。

ハーフタイム、逆サイドに貼り出した応援幕を指さして苦しくなったらあれを見ようと声を掛ける。後半に入るときにはいつも通り、笑顔のハイタッチ。しかし…。2失点目は難しいジャッジだったと思う。それでも何とかしようと奮闘したが…。さらにミドルレンジから綺麗な放物線で放り込まれ、トータル0-3。
前半のようなキレのある攻撃が展開出来なかったことは、まだまだチーム力を上げる余地がたくさん残っている、ということ。あの程度の向かい風で力を発揮できないのは本当の力が備わっていない、ということ。前回の決勝と、同じ0-3。しかし戦いぶりでいえば全く異なり自分たちの時間帯も確実に存在した中での、0-3。これをどう捉えて、どう力に変えていくか。

愛知の高校女子ナンバー2という立ち位置は、悪くない。むしろ誇らしい。ただ、そこに安住していては未来は無い。つぎこそは…という野望を今以上に強く、そして具体的なアクションを。

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