1月24日(ということは1月号に載せるべき話題だが、あまり固いことを言ってはいけない。1月は大概の人が忙しいものである。)予選リーグ第2戦、対菊里高校。苗字は変われど熱意は変わらないトメさんが率いる。トメさんは勤務校でのお仕事に加え、県サッカー協会全般について大車輪の活躍をしているお方である。2014国体では愛知女子チームを率いて東海地区を突破、全国に足跡を残したことも記憶に新しい。脇を固めたコーチングスタッフと息の合った運営が出来たのは恐らくトメさんの人柄によるものであろう。そんな〝ファミリー〟をつくるのがうまいトメさんの菊里もまた明るく、そしてひたむきなチームである。実はちょうど1年前の新人戦でも予選リーグで対戦。その時は1-0、スコア的には薄氷を踏む勝利であったと記憶している。
キックオフから前節の経験を踏まえ積極的にプレーするアンガク。そのおかげかリズムは悪くない。とはいえまだまだ決定機の数は少ない。しかし新人戦期間に入ってから、確実に…日ごとの成長を感じる。課題は明確、あとは日々の練習に対する取り組み方次第か…。ベンチで戦況を見つめながらとったメモにはそんな走り書きがあった。しおりの〝らしい〟2ゴールにきよのがPKを確実に決め、締めはあやが決して簡単ではない角度からフリーキックをズドン。4-0で勝利。予選リーグ首位で決勝トーナメント進出決定。
1月31日は決勝トーナメント一回戦の主審を高校部会の中村審判委員長(一宮商業)から仰せつかり、任務遂行…出来たかな?(笑)。なお、こういった高体連主催大会では、グランド準備と本部運営を会場校がしっかり務め上げ、審判割り振りを中村委員長が、速報を柴田マネージャー(という名の教員・至学館)が打つ。こういった分担を明るく軽やかにやり切るエネルギーが愛知の高校女子サッカーを支えている、と改めて思う一日。
2月1日、決勝トーナメント準々決勝は西三河同士の一戦となった。対するは岡崎商業。率いる渡辺先生はサッカー未経験とはいえ、他人とは思えない。理由は…見ればわかります。そんなベイマックス的渡辺先生率いる岡崎商業には身体能力あるいは個の技術が高い部員が複数いる。隙を見せようものなら勝負はどちらに転がってもおかしくない…そんなポテンシャルを秘めたチームとの一戦に俄然気持ちは引き締まった。
緊張を隠せない立ち上がり。オープニング3分、コーナーキックの展開からはるかの狙い澄ましたミドルは惜しくもバー直撃。ゴールに吸い込まれた…はずの一発だったがラインを割っていないとのジャッジ。難しくなる試合を予想させるに十分な出来事だった。その後、押し気味に進めるも大きな展開から速攻を図る岡商に手を焼く場面も。一進一退の展開から一息つかせてくれたのはほのか。スペースの無いところから抜け出し、落ち着いて流し込む。持ち味の個性的なプレーで先制。後半にはしおりが判断良く動き出す。一瞬のすきを見逃さず追加点。少しずつではあるが、こういったソツのない戦いが出来るようになったのはチームとしての収穫であった。2-0。これで今年度の高体連主催3大会(総体、高校選手権、新人戦)すべてで4強進出を果たすことになった。素晴らしい結果だと思う。どの大会も印象に残るが特に今大会はあの3年生たちが抜けた後であり、戦力的に難しくなっているのは間違いない。実際、練習は基本的なことに重点を置く必要に駆られている。そんな中でのベスト4入りは見事と言っていいと思う。
試合後、岡商メンバーの涙に、この試合の価値を再認識する。そして次は…準決勝、椙山女学園。
準決勝と同日、もう一つの大きな出来事が。AIFA(愛知県サッカー協会)アウォーズ2014の授賞式。アンガクとして昨年度のあゆみに続き、今年度も年間優秀選手(高校の部)という名誉ある賞をふたかなが頂けることになった。これは高校三大大会、そして愛知県選手権の結果等を加味して選考される。ちなみに受賞者数は県下約400名いる高校女子サッカー部員のうち3名のみ。本格的にサッカーを始めたのはアンガクに入ってから、というふたかなが受賞したことは、高校までサッカー未経験という周囲にも大いに刺激になると思う。もちろん受賞は一人だけの力でなく、部としても評価していただいたものだと捉えている。今後も今まで通りの謙虚さと経験で培った知性で、学びの姿勢を次のステージでも表現し続けてもらえれば最高である。
「おめでとう!ふたかな!!」
2月8日。未明からの雨は冷たく降り続く。ふとした瞬間に気付くのは今年度の準決勝は全て雨。準決勝を突破したことは一度もない…。ちょっと嫌な予感がする…。少し早く到着し、もう一つの準決勝カード…まずは南山梅垣先生と。その後、カピタ多田先生と談笑。梅垣先生は見事な粘り腰で初のベスト4進出を果たした。苦戦必至の対戦相手に思いをはせ、その山がどれだけデカいか体感してみたい、という。珍しく、少し遠くを見ながら話す表情は…やっぱりエビ蔵であった。多田先生との会話は…内緒である。ネットは誰が見ているかわからないのだ(笑)。ただ、「安城学園、今日見ないの?」「安城学園、興味あるよ(笑)」という台本通りの会話があったことは公表しておく。そんな駄話の最中、視線の向こうでは会場校を申し出てくれた岩倉総合の部員諸君が嫌な顔一つせず、傘をさすこともなく準備に余念がない。本当にありがたいことだ。サエキ先生の人間力には本当に頭が下がる。
定刻通り、キックオフ。冷たい雨はほとんど上がった状態。ボールも予想以上に転がる。やはり個に勝る椙山は手強い。中心選手は自由に動き回っているように見えて危険なエリアを察知する力がすこぶる高く、何よりパサーとしてのタイミングはピカイチ。周囲の選手も遊び心を持ったプレーで観客を沸かすシーンが多い。しかしアンガクも球際の厳しさ、そしてゴールに向かうという極めてシンプル、かつスピーディーな展開で応戦。伊勢の経験がここで生きた、という印象。隙を見つける、というよりミスを誘いだすと言って良いほどのプレッシャーをかけ続けることに成功。今も苦しみながら本当の力にしようとしている会話力も表現できた。試合は大方の予想に反し、前半早々から動く。ポジショニングの妙が利いたセットプレーでの得点を含めて前後半とも3ゴールずつ(ほのか3、しおり、あや、ゆきよ)で計6-0。点を重ねるごとに集中力が増した、と翌日のノートに書いた部員が多数いたが、そのコメントからは充実のゲームだったことを窺わせる。ここにきて新チームの総合力が少し上がってきたか…という試合内容だった。この日のゲーム、特筆すべきは中盤での明確な守備力。JFA的表現をするなら〝Be Alert(=研ぎ澄まされた)〟な状態を継続できた、という具合。
とうとう県決勝に名乗りを上げることになった。創部9年目にして初、である。相手は敬愛すべき聖カピタニオ。紛れもない県最強チームに今のアンガクの…何が通用し、何が通用しないのか。舞台は瑞穂北陸上競技場。恵まれたピッチ上でチャレンジする、その全てがそのまま今後のチーム作りに生きると信じている。きっと顧問も部員も吐き気を催すほどのド緊張(笑)をするだろうが、それもまた経験だ。新人戦は自分(たち)との戦いだと言い続けてきた。その覚悟を…最後の最後まで。
『自分のために!仲間のために!!』