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顧問の独り言 2017年11月号Part2

『最難関を前にして。』ー 東海地区予選準決勝 

11月11日、東海地区予選準決勝。目前にはあの藤色のユニフォーム。静岡県第1代表の藤枝順心。練習試合でも東海プリンセスでも対戦したことはない。そもそも同じピッチに立つこと自体が初めてだ。各学年に年代別代表候補を抱える顔ぶれに、どう抗うか。

試合前セレモニーから少し勝手が違う。テレビ局が順心を追う。おそらくカメラの端には黄色いウエアも映っているだろうがピントは藤色に合っている。FAIRPLAYフラッグを先頭に両チームイレブンが入場。定刻通り、11時キックオフ。
スタートからプラン通りに狙いを絞るアンガク。ファーストディフェンダーがアタックに行く。いとも簡単にかわされても、次の選手がカバーに入る。センターラインが視界に入る高さでチャレンジできた時間帯。緊張感のある、非常に素晴らしい試合の入り方だったと思う。当初、5分足らずで変更する可能性も考えていたシステムを15分まで継続できたのは、〝臆する事なく戦う〟メンタリティを見失わなかったからだ。

この試合には2つの焦点があった。最初の失点を喫するのはいつになるのか、どこまで堪えられるか。そして…失点しても次の失点をしない決意でプレーを続けられるか、試合終了まで。

この試合もまた、勇気を与えてくれるカピタの応援が有り難かった。第2試合のウォーミングアップ直前まで観客席最前列で、いつもの美声(?)とハイテンション。周囲にいるアンガク保護者や関係者にも完全に違和感なく受け入れられている、というよりも完全にリードしてくれる。会場運営という名のもとに(きっと心の中で密やかに応援してくれている)南山中高と椙山女学園。そして盟友の至学館も。さらにこの日は同じ三河で再興を期す岡崎商業も大勢で観戦に来てくれた。

初失点は18分。一気に攻撃のテンポを上げられて対応しきれなかった。何とか30分過ぎまで無失点でいきたかったが…。22分と25分にも被弾。前半を0-3で折り返した。

ハーフタイム。マネージャーのチーさんはいつも通りコンディションチェックに余念がない。アイシングと水分補給も他のベンチメンバーと協力しながら流れるようにこなしていく。よどみない動きとはまさにこのこと。ピッチから戻って来た選手の表情から窺えるのは…抵抗するには余りにも高い壁を実感、しかし決して絶望はしていない。自分たちにミスは出ていても最善は尽くしている、といった表情。悲壮感はない。もし完全に戦う意思が欠落していたなら順心のFKについてああだこうだと勝手に話す元気はなかっただろう。
中盤アウトサイドでの守備について、約束事をもう一度確認。頷く顔が多い。この要点を実行できれば、もう少し抵抗できる…。前半を終えたチームの素直な感想だろう。ハーフタイムを終え、いざ後半へ。

後半に入ると、前半よりも改善された順心の攻撃に翻弄されてしまった。アンガクも対応を図るが、あとほんの少しが詰めきれない。5分、8分と連続失点。このあと少し落ち着いた守備ができるようになったが23分にもゴールを許す。これで0-6。しかし戦う意思は全く色褪せなかった。なんとかこのスコア差のままで試合を終えたい…。残りは17分間、アウトサイドを中心に計3枚の交代カードを切った。初出場を含むメンバーが必死の思いでプレー。嬉しかったのはアウトする選手にも、そして入ってくる選手にもピッチ内で大きな拍手や声がかかったことだ。誰がピッチに立ってもチーム全員でこの試合を全うするんだという全員の自覚が肌で感じられた瞬間だった。
この試合、怪我が理由で3人の部員が登録を外れたり、あるいはピッチに立つことができなかった。立場は違えど、いずれもここに至るまでチームを支えた3人だ。その仲間の思いにも応えたい…。前半の終わる頃から試合終了までステップトレーニングをやり続けた選手も4人いる。自分の出番を待ちつつ、ピッチに立つ仲間の奮闘を信じて…。そんな思いもピッチとベンチに去来していたように思う。

それにしても順心には隙がない。そして呆れるほど上手くて強い。36分、そして40分を過ぎたアディショナルタイムにも失点を喫してしまう。結果、0-8の大敗。ただ、アンガクの今の力を最大限発揮したことは見てくれた全ての人に伝わったとも思う。試合後、スタンドからいつにも増して大きく温かい拍手をいただいた。本当に有り難かった。

『全国に出たい』と、誰もが口にする。しかしそこには強い覚悟が必要だと思う。全国に出れば、これほどまでに強いチームと対戦することになるのだから。死に物狂いの戦いは、時には残酷な結果が待つこともありうる。戦いを挑みたいなら…覚悟を決めなければいけないのだ。しかし…覚悟を決めたチームは、必ず強くなれる。絶対に最後まで戦える。
 
試合終了直後、全員が集まった控室でそんな話をした。下を向いて話を聞くような部員は、1人もいなかった。もうすでに次を見据えた表情。気持ちはひとつ。

そのおよそ2時間後…計7ゴールが飛び交った激戦を最小得失点差で制したのは…常葉橘(静岡県第2代表)。
 
この瞬間、3位決定戦の対戦カードが決まった。 
11/18、聖カピタニオ女子vs安城学園。
 
強いのは、カピタだ。全国に行くのは、勝ったチームだ。
 

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