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顧問の独り言 2015年12月号

人が動いてボールが動くと心も動く。

今年の暮れの訪れは特に早く感じた。例年はホームタウン安城に多くの高校をお招きして練習試合に明け暮れている。そんなこの時期に改めて自覚する新チーム特有の問題…人数不足、力不足というストレスがありながらも遠征を初めて組んだ。2015年のラスト1ヶ月を振り返っていく。

毎週末の練習試合は旭丘を皮切りに同朋、岩倉総合、一宮商業、南山といった相手に県内で実戦(そういえば後述の懇親会で、地元で練習試合をこれほどまでに組める環境の有難さを再確認した…愛知の高校女子サッカーはやっぱり誇るべき組織体だと思う…)。特に岩倉総合佐伯師匠には毎週のようにグランドを提供していただき、対戦相手としてだけでなくふと溢してしまう愚痴めいた一言を常に受け止めてもらい、次の瞬間には笑い飛ばしてもらった。そういう関係性はやはり部員にも伝わっているようで、岩総の部員からの挨拶や表情は今まで以上に…カタチだけではない、何か体温のようなものを感じた。

MーTーMメソッド的発想でアンガク部員に問いかけていく。『先週のゲームではこういうところが素晴らしかった。しかしこういう課題が表面化した。だから今週のトレーニングではこういうテーマでトレーニングし、みんなでトライした。じゃあ、今日のゲームではこういうことを目指して取り組んでいこう。』例えばアウトサイドの利用方法、PAの攻略、ビルドアップの手順。しかし基本的なことも多い。例えば守備の優先順位と実践、スローインの投げ方と受け方、インフロントキックとコントロール。チームの根幹に関わることも表出する。例えばシュートはどこを狙うべきか、シュートはどこから打つべきか、どのエリアでシステマティックを求めどのシーンでダイナミズムを生み出すべきか、コミュニケーションとメンタリティーの関係性、そして、走力。いずれにしても、何かひとつのキーワードをポンと投げかけた瞬間に、同じ映像をイメージ出来るようにならなければいけない。そういう試行錯誤が、ずっと続く。

23日から27日まで連戦。
23日、東海プリンセスリーグ2部第3節、vs磐田北。
お忙しい二俣先生に無理を言い磐田市にお邪魔した。昨年の対戦は押し気味に進めるも徐々に流れを与えてしまい、結局0-1。決定機にいかに決め切るかが大事だと教えていただいたと記憶している。今回は前半がワーストの出来。ただ幸運にも0-1で折り返せたことが後半の修正につながったと思う。1点追加されるも2点を奪い、2-2ドロー。正直もっと良い戦いをしたかったが、守備力に評価がある静岡4位に追い付いたことは評価したい。
翌24日から26日までルネス遠征。対戦カードは(以下、だいたい試合順で)ルネス(滋賀)U-15、星翔(大阪)、三重、何故か聖カピタニオ(笑)、何故か同朋(笑笑)、ルネスTOP、奈良元気SC卑弥呼、高梁日新(岡山)、京都精華中。三日間で午前午後のピッチ移動、そして冷たい雨にも見舞われた。リハビリ組を複数抱え、交代メンバーがいない中で全員がほぼフル出場。遠征最終盤では相当な疲労が蓄積していた。これまで見たことがないレベルの消耗度。思ったように動けないことからくる不甲斐なさや、同じ失敗をしてしまう自分やチームに大きなストレスを感じ悔しくて涙することも。しかしそれは価値あるゲームをやり切ったからこそ体感出来たものじゃないかなと、今になって思う。

どの試合にも見所はあった(カピタ戦の見どころは内緒である)が、注目すべきは三重、そして高梁日新との一戦だろう。両チームとも新年1月2日から全国高校選手権に出場する。しかも当然ながら3年生を含めた相当良いメンバーで対戦していただいたようでもあった。全国大会直前のチームに挑戦する機会はさほど多くない。動かない足を引きずってでも戦い抜くと決意して挑むと想像以上に収穫の多い試合に。中にはあまりの刺激にゲーム中〝やべえ…マジやべえ…!〟とボソボソ独り言を発し、似た価値観を持つ者同士で半笑い気味に目を見合い、アドレナリンを出しまくっていた選手もいた(←念のために書いておくが決して病んでいるわけではない(笑)。ここで言う〝ヤバい〟は〝この相手、ハンパねぇ〟と同意義である)。新チームでも頑張れば…みんなの怪我が治れば…もっと積み上げていけば…そんな期待を抱かせる経験が出来た。何より…この対戦相手に目一杯勝負を挑み、敗れて悔しいと思えたことが今後必ず財産になる。
余談だが、指導者懇親会ではこれまで接点のなかった高梁日新と日本航空(山梨)の先生方と硬軟織り交ぜた沢山の話題に花が咲いた。私自身、これまで雲の上のような感覚で捉えていたチームを一気に身近に感じることができ、これまた嬉しく楽しい時間であった(なお、私の隣にカピタ多田さんがいたのは言うまでもない。そしてその隣にはルネスの諸岡校長先生。これまた違和感ゼロ。困ったものである(笑))。

27日、東海プリンセスリーグ2部第4節、vs桐陽。
会場となった岩倉総合で久しぶりに吉岡先生とご挨拶。スクールバスで数時間…遠路はるばる愛知まで来てくださったことにとにかく感謝しかない。すれ違う桐陽部員も元気いっぱいかつ爽やかな挨拶をしてくれた。うなぎパイも美味であった。礼儀を重んじる吉岡先生の教え子らしい空気を纏っていたのが印象に残る。
試合は前半早々に呆気なく失点。普段はタフネスをベースにするアンガクもこの日はキックオフ時点ですでに筋肉疲労が限界を超えていた。とにかくひざが上がらない状況。しかし本当に気持ちだけで踏みとどまり(いつもは互いに意見交換してうるさいくらいのハーフタイムに…声を出すことすらほとんど出来ず…私はただ励まして、励まして…励ましただけ!)。しかしここで意地を見せる力が付いたのが12月最大の成長ポイントかもしれない。後半15分に追い付き、終了間際に追加点を挙げることに成功。昨年完敗した相手に2-1で勝利することが出来た。疲労困憊、満身創痍でも互いを信じて愚直にプレーし続けたアンガク部員を誇りに思う瞬間でもあった。

これで年内のトレーニングは終了。浮き沈みがどうしても大きくなるこの時期ではあるが、本当によく頑張ったラスト五日間の連戦であったと思う。束の間のリフレッシュ期間を経て、年明けにまた活動を再開しよう。自然とピッチで笑顔が広がり…常に真剣味を持ち続け…自分と自分達の野心を忘れないアンガク部員に、また会う日を楽しみにしつつ…私も少しだけリフレッシュしよう。ciao。

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