先月とは打って変わって実戦機会に事欠かなかった7月。やはり3年前から始まった県高校リーグの存在が大きい。今年度は事務局的な役回りとして南山の梅垣先生が大車輪の活躍。1部28試合、2部45試合。計73試合を見事に調整し、7月末日までに全体の56%、41試合を消化している。1部所属のアンガクはこれまでに第5節が終了。現在、3勝1敗1分で暫定3位。なかなか立派な順位であるが厳しい戦いはまだまだ続く。今月はまず、リーグ戦での興味深かったゲームを振り返っていく。
創部以来、常に背中を追い続けてきた旭丘。練習試合含め、未勝利だった歴史にピリオドを打つことが出来た。願わくば心の師、中西先生の定年前に勝ちたかった、と言えば欲張り過ぎか。内容的には前半に先制点を許し、後半、勝負の肝となると読んで1週間こだわったCKで2ゴール。“取り組んだことを表現する力”がついてきたと評価してもいいかもしれない。試合直後、これまでと変わらず旭丘ベンチで無類の存在感を示す中西先生に近づき、固い握手と抱擁。「今日はやられたなぁ…強くなったなぁ…でも今度は“倍返し”だからな…覚えとけ!(笑)」まさか中西先生が日曜夜に半沢直樹を観ているとは思わないが、ユーモアたっぷりに毒づかれるのも…気持ちいいものだ。
第4節、vs聖カピタニオ。言わずと知れたチャンピオンチーム。最近は高体連主催大会でのくじ運に恵まれず(笑)対戦する機会がめっきり減ってしまった。だからこそ、チャンピオンとの距離を測る大切なゲームと位置付けた。
試合前に相手チームの力量を冷静に判断し、そのゲームの意味合いを考え、戦術と戦略を練る。幾つかのアクシデントも予想の範疇にし、相応のリアクションさえ準備する。その中で必要なことを選手に伝え、実行させる。チームとしてこれが出来るレベルに近づきつつある。
前半は攻撃的な時間も若干は作れた。問題は後半、残り10分から5分の辺り。繋ぐ意識は急激に薄れ、目の前の現象に振り回される時間が続く。哲学の無いサッカーに魅力はない、明るい未来もないと思う。ただ、誤解の無いように言っておかなくてはいけないのだが、死力を尽くして戦う部員を悪く言う気も全くない。こういう状況になる理由はただ
一つだけ。カピタとアンガクの総合力の差である。それでもこの日のサッカーの神様は少しだけアンガクに肩入れしてくれたようだ。数回の決定的ピンチも何とかしのぎ、試合終了のホイッスル。創部以来、公式戦でカピタ相手に初めてのドロー。間違いなく、今までで最も近づいた試合。
近づいてわかることがある。
遠い時には目標とする背中も案外おぼろげで、輪郭すらあいまいだったりする。そして近づけば近づくほど、その大きさに圧倒されることがある。
27日から2泊3日の日程で『JAしみず杯 清水レディースカップ』に参加させていただいた。4年連続で参加となる今年度の目標は“全員出場”と“優勝”。決して簡単ではない、この目標に全力で向き合った部員たちの姿は素晴らしいものがあった。ほんの少しの運が足りず、優勝こそ逃してしまったが、予選リーグから上位トーナメント、決勝戦まで決して簡単ではないゲームに全て勝利し続けることが出来た。決勝も前後半を終え1-1、続くVゴール方式の延長戦は0-0。最後まで負けなかったチームに拍手を送りたい。特に決勝戦の先制ゴール、そして決勝延長での圧倒的な戦う姿勢は予想を上回る人間的な成長ぶりだったと感じている。
選手だけでなくマネージャー2人の奮闘も忘れてはいけない。3日間で5試合の副審、全試合の映像管理、ゲーム前ウォーミングアップ時の時間管理、コンディショニング、そして宿舎での雑用全般。いまのアンガクはマネージャー無しでは全く運営できない。2人のおかげで顧問は独りでもやっていけるのである。
今日、7月31日は南山とのリーグ戦。久しぶりに雷が…ゴロゴロゴロ…いや、天気ではなく、顧問の…雷が落ちた。
慢心して結果が出せるほどの力はない。清水の結果で誤解をしてはいけない。アンガクはチャレンジすることで少しずつ結果を出してきた。それはこれからも変わらない。
試合会場がどこであろうと、対戦相手がどこであろうと、ルールは同じ。ボールは同じ。人数も同じ。ピッチサイズも同じ。変わるとしたら、プレーしている自分自身の心の中。
雷が鳴った後は…ゆっくり回復傾向、だったかな(苦笑)。結果は2-0。どう転んでもおかしくない試合をモノに出来たことに価値がある。