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顧問の独り言 2013年4月号

年度初め。

天候不順な4月が終わった。と言ってもGWの明けた今日5月7日もまだまだ強風が吹き荒び、体感的には20度に満たない気温。すでに過ぎた4月を振り返ってみる。

8期生から9期生へ、部が新体制に切り替わり記念すべき最初のTMは4月3日。来ていただいたのは市邨、聖カピタニオ。すでに合流済みの新1年生も交え、いつものことだが両チームから学びの多い一日となった。特にこの日は前日の雨がひどく実施も危ぶまれたが、多田・梶野両先生の素晴らしい状況判断によりドンキでスポンジを大量ゲットしていただいた(そういえばその代金は未払いである。よし、このまま黙っておこう!)。スポンジで水を吸い取ってグランドを均して…という作業をしての実施。こういったときに各校部員が自ら気付き、チーム分け隔てなく協力し合って主体的に行動できるのが愛知の良いところ。サッカーをしてもサッカーをしなくても、サッカーで育てられる環境。素晴らしいと思う。

そんな愛知の礎をつくったおひとりである旭丘の中西先生が昨年度をもって勇退された。16日の顧問会議後、そんな中西先生を慕う県高校女子サッカーの仲間がこぞって集まった。高体連登録が県で19校、なのに参加人数は20人を優に超えた。協会からも井上副委員長に参加いただき、県女子サッカーをさまざまなカタチで支えてきた人たちの思いを共有する場にもなった。思えば安城学園で女子サッカーを本格的に立ち上げた当初、最も数多くの練習試合をしていただいたのが中西旭丘であった。当時どこと対戦しても全く勝てなかった我が校に試合後、必ず温かいアドバイスをくださった。あれから約7年。今も勝手に心の師と慕っている。最近は県高校女子の指導者も少しずつ若い方が増えてきた。だからこそ私たち“中西旭丘を知る世代”が、どう活動していくかが問われるのかもしれない。

さて、総体県予選。今回は予選Bリーグに入った。
初戦は29日、対金城学院高校。白井先生の丁寧かつ熱を帯びた指導を受けている、伸び盛りの集団。試合開始40秒の失点には正直焦ったが、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、修正。前半2-2、そして後半も2ゴールを加え、計4-2で勝利することが出来た。

5月3日に予選リーグ第2戦、対椙山女学園高校。クラブ出身者が揃った人材の宝庫である。前回の対戦は新人戦の同じく予選リーグ。そのときは0-0のスコアレスドローながらPK負けを喫した。さて今回はどうなるか。

実は今大会は怪我などからコンディションの復調しない部員が多く、苦しい台所事情で開幕を迎えることになった。練習試合でもやはり新1年生を起用する場面が多く、ベストと言える戦力で勝負する機会にあまり恵まれなかった。ただ、直前に組んだFCプロジェクトとのTMは仮想椙山としてグループ戦術のチェックに大いに役立った。プロジェクトには県高校女子サッカー部出身の実力者が多く存在する。試合前には何人かと談笑したりして懐かしさもあったが、プレーが始まるとそのパススピードとボールストップの技術を前に、対応が困難になることもあった。しかし30分×3本を計0-1で終えたことで、ベースとなるグループ戦術に、ある程度の自信と根拠を見付けることが出来た。そのTMで新1年生を複数起用できたことが今回の椙山戦でのスタメンに繋がる。

前回のリベンジを、と非常に高いモチベーションで椙山に挑むアンガク。この“挑む”という感覚が高い集中力を生んだ。意図的な守り方(実はここが大事で、ゲームをシミュレーションし実行する力~ただ守る、のではなく、どう守る、のか~が建設的視点として重要だとナカノは考えている。コレを読んでいる皆さんもそうだと思いますが。)で決定機を許さない。とはいえ椙山もさすがの実力校。前半15分、一瞬チェックが遅れたシーンで軽々と突破を許し、ゴールを奪われてしまった。だがこれ以降、大崩れをしなかったことが手前味噌ではあるが成長の証だと思う。なかなか攻撃までは手が回らないがリスクを最小限に抑え前半を0-1で終える。ハーフタイムで改めて守備の入り方を提示し、少し修正を加え後半へ。けがのため温存していた主力2人を後半途中から投入。そのおかげか、前回の対戦では全くと言っていいほど良いところがなかった攻撃面でも、今回は少し糸口がつかめてきた。とは言えゴールネットを揺らすには至らない。結局、0-1のまま試合終了。しかし1失点したとはいえシミュレーション通りに試合が運べた達成感も表情に浮かぶ。敗戦の悔しさと前回より一歩進めたという実感。もっと強くなれる。そういう感覚を手に入れ、予選リーグ2位、つまり総体予選ではチーム初となる決勝トーナメント進出を決めた。

5月6日、決勝トーナメント一回戦。対至学館高校。心は常に前向きで、かつ身体能力の高い、戦える集団。また父性と母性がバランスよくミックスされた、素晴らしい指導者集団が率いる、人間的にも運動能力的にも魅力あるチームである。昨年度と異なり、新チームになってからは練習試合でも一進一退の間柄。恐らく今後も好敵手として互いにリスペクトしあうことになる。だからこそしっかり勝たなければいけない一戦。
キックオフ直後から至学館の勢いに圧され、それに対応する展開。我慢する時間帯はある程度織り込み済みだったものの、そこは至学館の素晴らしいところで、こちらの予想を上回る圧力を掛けられた。そんな中、CKで何でもない処理を誤り、ペナルティーエリア内で痛恨のハンド。あっさり決められ幸先悪く失点してしまう。0-1。その後、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し、攻撃的な場面を展開する。が、数度あった決定機を逃し前半終了。
ハーフタイムで前半の流れを簡単に振り返り、決して悪いだけの内容では無かったではないことを確認し合う。そして後半はシステム、ポジションを変更、一層攻撃にシフトした戦い方をすることに。
後半も前半同様、積極的な仕掛けを繰り出す。時折逆襲を食らうが、打ち合わせ通りサイドの対応で決定機は作らせない。ボール保持率は前半以上に高まり、ゴールの期待感も上がる。しかしゴール前まではいくものの、良い体勢でフィニッシュまで持っていけない。そのうち、至学館の粘りに対してアンガクの追いつきたいという気持ちがプレーに焦りを生み始めた。良い時にはもうひとつ崩しにかかってゴールに近いところでフィニッシュを目指す。しかし、焦るとゴールを遠くに感じるのだろうか、距離的にも角度的にも難しい瞬間にフィニッシュの判断をしてしまう。数多く獲得したCKのチャンスもモノに出来ず、ゲーム終了のホイッスル。PKで与えた失点を挽回できず、残念ながら0-1で敗れてしまった。

負けてうなだれる部員たち。その心はとても理解できる。しかし帰りのマイクロバス車内でミーティングが打てない。10分待った。さらに10分。涙が止まらない部員がいる。気が抜けたような表情を浮かべる部員がいる。これではいけない。黙り込んで凹んだままの心で帰るなら、電車で勝手に帰ればいい。みんなでいるのに独りでいる。そういうチームに腹が立った。前を向くことの難しさを理解しながらもあえて叱責した。
アンガクの部員は素直な心を持っていると思う。バックミラーを覗くと必死で話し始める姿が見えた。熱を帯びた声も運転席まで届いてくる。まだ試合出場が叶わない1年生たちは、どうやったら本当の意味でチームの一員になれるか話し合っている。これでいい。いつも通り、だ。
本当は指摘しなくても自分たちからこういう行動がとれるといい。言われて頑張る、のは普通である。言われなくても頑張らないといけない。そうすると、熱心に取り組むのが当たり前の状態になる。そうなると…気がついたら良いチームになっている。そういうものだと思う。

ここから本当に強いチームになるためのハードルは、決して低くはない。しかし諦めずにトライしていこう。

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