ブックマーク▶︎https://angaku-girls-soccer.com

顧問の独り言 2016年5月号

『何を目指すか。どこを目指すか。

5/1。総体予選第1節、対春日井商業。未だ完治しない主力の怪我、初戦独特の緊張、オマケに会場的には完全アウェー。言い出したらキリがない不安要素を吹き飛ばすために言うべきことは1つ。「様子見は要らない。キックオフからアグレッシブに攻め込みなさい」。気合いの入った円陣は早速の本気モード。開始1分に満たないタイミングでりかが決める。幸先のいい先制点。続く2分にれおなのボレー、4分にはなつき⇨しおりの〝尾張ホットライン〟も機能。その後も積極性が実を結び、終わってみれば前半9得点、後半5得点の計14得点。ただ、後半は春日井商業の 粘りに〝してやられる〟場面も多数。気持ちを持ち直した春商はアンガクの攻撃を断ち切るごとにピッチもベンチも声を掛け合う。最後まで互いの闘争心がみえる試合であったと思う。

3日にはNGU名古屋のJr.YouthとTM。30×3と少なめであったが公式戦で出番の無かった(あるいは少なかった)部員にも出場機会を作れたことは本当に有り難かった。3本目は初心者1年生が全員フルタイム出場し0-2。中1と中2年代が中心とはいえ羨ましいほどの基礎技術を身につけているJr.Youthの素晴らしさに目を見張った。しかし対するアンガクもGKを中心とした粘り強い守備は本当に素晴らしかった。必死でトップチームの先輩たちについていこうと毎日頑張っている成果が出たのだと思う。想像以上に奮闘したセカンドメンバーに、思いのほか収穫の多い1日となった。

5/5は第2節、対菊里。公式戦での対戦成績はここ数年優勢。しかし言うほどスコア差は発揮できない試合が多い。菊里の諦めないメンタリティ、基礎運動能力の高さとトレーニングの取り組みが成せる実行力は、少し前のアンガクとダブって見えると思うのは私の独りよがりだろうか。球際激しく冷静沈着。課せられたミッションがチームの勝利に直結しているという深い理解。結果はともかく、苦労するのは織り込み済み。
それでも前半と後半にそれぞれ2ゴール。季節の変わり目にありがちな強風と初めてのピッチコンディションに相当苦労しながらも被シュートゼロに完封したのは、成長は菊里だけでなく自分たちにも当てはまるのだという証明だったかもしれない。
これで予選リーグを首位通過。決勝トーナメントを右側の山で進めていくことが決まった。

今年度はU-15をこれまで以上に自分の目で知ろうと今月、足繁く会場に通った。トーナメントゆえ残念ながら敗退すると、もうそのチームや選手を見る機会は無くなってしまう。結果、1回戦から決勝まで8試合を観戦。その間、約束は一度もしていない(いや、マジでホント)にもかかわらず常にカピタの多田先生と一緒だったので、周りからしてみると『何であの2チームの先生が一緒に…?』と思われたかもしれない。理由は簡単、無駄に仲がいいのである(笑)。というのはホントであるが、改めて真面目に思うのは〝経験値の高い選手〟が来て、苦労しながらも〝良いチーム〟になり、いつの間にか誰もが羨むほどの〝強いチーム〟になるカピタは手品を使っているのではなく、こういう事柄1つを見ても理由は明確にあるんだなぁと実感(無論、これだけではないのだが)。そんなこんなで互いにスカウティングのメモをふむふむと取りつつ、将来性溢れる15歳のプレーに『この子たちがこのまま愛知で育つ環境を作らねば…』と2人で決意を新たにした(いや、マジでホント)。

話を高校総体に戻す。公立高校の多くは総体予選の敗退が3年生の引退を意味する。これまで切磋琢磨した他校3年生の〝その瞬間〟に立ちあった。岡崎商業の主将は勇猛果敢にカピタに挑んだ。試合後は涙なが

らも出し切った表情。アンガクの試合を1人でも見にきてくれていたことを思い出す。「これで引退します。本当にお世話になりました」とわざわざ挨拶しに来てくれた。岡商に並んで8強進出の菊里は予選L2位ながら決勝T1回戦を突破し、続く準々決勝も大接戦を演じた。延長で力尽きるも見事な戦いぶりには本当に心を動かされた。試合が終わり少し経った後、その中心にいた3年生にピッチ外で偶然出くわした。良い試合だったねと言葉をかけると心から嬉しそうな表情で「菊里を選んで良かったです」と満足げな言葉が返ってきた。その表情にもまたグッときた。そして準決勝ではピッチの逆側に佐伯師匠の姿が。岩倉総合が決勝Tまで勝ち進んだのはちょうど1年ぶり。その成長の中心にいた3年生の愛弟子を連れてはるばる岩倉から観戦に来てくれたようだ。言葉をかわすチャンスはなかったが思いは存分に伝わった。
県高校女子サッカーという舞台でとことん勝負し、互いに認め合うまでの関係になる。そこには公立と私立の違いなど毛頭関係無いのだ。

5/21、準々決勝は椙山女学園と対戦。個のボールプレーの技術を引き上げることに特化した指導のアプローチは他と一線を画する、と私は思う。局面においては難しくなる、ということを予測の範疇にする作業を済ませておいたことは功を奏した。試合は前半、順調に進む。10分にななかがCKを直接放り込み、先制。PA内のキレある連動性も要因の1つだろう。久しぶりに歓喜の輪が広がる。その1分後にはりかのクロスに勢い良くしおりが反応。ニアポストで巧くキープし難しい角度から無理せず展開。タイミング良くスペースを作り出していたれおながインステップダイレクトで叩き込み2点目。26分に決めたのははるか。3/29の練習試合で前距腓靭帯を断裂。誰もが認めるチームの心臓が再び動き出した瞬間、というとカッコつけすぎか。何れにしても狙い澄ましたミドルレンジのフィニッシュは勝利を確信するのに十分な効果だった。
今思えば前半が出来過ぎだったのかもしれない。決して受け身になったつもりはないが、自分たちのペースで進める手立てが取れなかった後半。これは指導者の責任だと思う。リアクションが増えた後半28分、一瞬チェックが遅れ、思わずファール。対戦相手に特別なキッカーがいることも充分に理解していたのだが…。35mはあっただろうか、その距離を叩き込まれてしまった。見事と言うしかない。そしてそのまま試合は終了。3-1。準決勝進出決定。

5/28、準決勝。対するはここまで僅差のスコアをものにし勝ち上がってきた盟友南山。梅さんの聞き慣れたぼやき節(笑)も、戦術理解が深まる部員を頼もしく思う裏返しとみた。アンガクはというと先週より落ち着いている様子。試合前のメンタリティに浮き沈みはよくある話だが、試合を重ねるごとに心の持って行き方が上手になってきたと感じる。定刻通り試合開始。前半はストロングポイントを表現しダイナミックに展開するが、工夫された南山守備陣の前に、ほんの少しタイミングが合わない場面がずっと続く。先制は前半26分。狙いどころとタイミングを変えたあかねのクロスにしおりが持ち前のスピードで飛び込んだ。惜しいチャンスを逃していた前半だけに、この得点はチームにとって本当に大きかった。その後ゴールを重ねられなかったストレスは多少あるものの1-0で落ち着いてハーフタイム。ボールの動かし方、1stDFの考え方、そして若干のポジショニング修正をし、後半へ。追加点は後半2分、再びしおり。他では真似できないようなヘッドで、ここしかないというところに放り込んだ。ただ、南山GKの闘争心と集中力も見事だった。ゴールポストに自ら直撃してしまう恐怖心を克服した勇気にも賞賛の声が上がるべきシーンだったことを記しておこう。試合はその後、中盤で選択肢を増やすことに成功したアンガクの支配率が高まる。南山の気の利いた速攻には最後まで手を焼いたが終わってみれば被シュートゼロ。あまり目立たないかもしれないが守備陣の奮闘と中盤の賢さも手前味噌だが評価したい。そしてそのまま試合終了、2-0で勝利。通算4回目の決勝進出が決まった。例年通り…というより例年以上の充実をみせるカピタにどう挑むか。一週間後、勝利したチームが県代表として東海に挑み、2校だけに与えられる全国総体の切符を目指す。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です