3月に入り、慌ただしさが際立つ毎日。年度末の定期試験も終わり、再び走り込みの日々。そういえば最近は走り込みをメニューに入れることに全く違和感を感じなくなった。ある日偶然やらなかったら、何故か残念がる部員まで出没。恐るべしルーティーンマジック(笑)。そんなこんなで2013年度も、あと4日。
13日から16日まで2年生が修学旅行へ。内訳は…6人が沖縄、1人が北海道。顧問の個人的嗜好からすると圧倒的得票差で北海道を推すのだが。バタークッキーより紅イモタルト、味噌ラーメンよりソーキそば、らしい。うーん…恐るべしハイビスカスパワー。(ちなみに他コースはシンガポール、北九州、屋久島。中学生の皆さん!楽しいですよ~♪と軽く生徒募集活動笑)
そんな数日間、部活は現1年生と数人の新1年生で実施した。日替わりで主将と副将を自分たちで決めて、トレーニングをリードする。メニュー自体はほとんどを復習的な内容にしたが、やはりどこかフレッシュな印象。先輩に比べるとミスプレー連発ではあるものの、それはそれで意義深い。何より、聞こえてくる声がいつもと違う。先輩たちの存在の大きさを再認識し、それでも自分たち等身大の全力プレーで前に進もうとする。こういう一日もまた、意味があるのだ。
西三河で女子サッカー部のある高校はわが安城学園ともうひとつ、岡崎商業高校。距離も心も近い仲間である。そのチームを率いた星崎先生が岡商から離れることになった。サッカー未経験でありながら苦心を重ねてチームを束ね、ついには決勝トーナメントに進出するまで育て上げた手腕は誰もが一目置く存在…というと何だかスーパーな感じがするが、そういうことを言いたいのではない。成し遂げた結果のもつ意味は確かに大きいが、それをはるかに凌ぐ量の苦労と試行錯誤の蓄積が素晴らしく、誰も真似することができないレベルであったのである。それは岡商女子サッカー部の、そして県高校女子サッカー全体の財産であったとも思う。顧問の集まりで伝えられたその話に、去来する思いをグッとこらえた笑顔と終わらない拍手が、その人望を雄弁に語っていた。
「本当にお疲れ様でした。いつか必ずグランドで!」
春休みに入り、各校のTMも本格化(のはず)。初っ端にカピタニオから声を掛けていただき全力勝負。互いに新1年生を起用しつつ総体の戦い方を模索する様相。30分×4で4失点1得点。学び多き内容を噛みしめつつ、改めて思うのは、やっと…少しだけ…カピタの練習相手になれたかな、という感じ。一方、当然ながら全国レベルのチーム力を体感させてもらい、ここを越えねば…の決意も新たにする。ちなみに多忙な多田御大は4本目の最終盤で合流。笑いを交えて雑談しながらも全然こちらを見る気配はなく視線の先はピッチ内に。自チームのチェック、はたまたアンガクの戦術チェック…と、イヤイヤ、それは無いか(苦笑)。
月末には甲賀健康医療専門学校、いわゆるルネス学園(滋賀)のお世話になり他府県のチームと実のあるゲームを重ねることが出来た。経験値の高さを感じさせる星翔(大阪)の個の力に感嘆させられ、創部2年とは思えない京都文教女子の粘り強さにはホトホト手を焼いた。また、怪我人などでやりくりに苦労する海の星(静岡)の姿には数年前のアンガクがダブって見えた。その中でも特筆すべきは滞在3日間すべてで機会に恵まれた対ルネス学園戦である。いま出来うる最大限のファイトを表現できたことが、格上であるルネスの真剣味を多少なりとも引き出せたのではないだろうか。新1年生の合流と攻守の切り替えを大テーマに据えた、非常にアグレッシブなゲームが展開できた。諸岡先生&鳥飼コーチ、温かい対応ありがとうございました。(余談であるがルネスの学生さんにはあらゆる面で感心することしきりであった。怪我人への救急対処、付属接骨院による的確な応急処置、全てにおける丁寧な対応には心から感謝である。また、偶然目撃した交通事故にも臨機応変かつ二次被害が起きないよう配慮する姿に、優しさと賢さ、逞しさを感じた。)
数回に分ける形でリフティング記録会も今月実施。仕事の関係で全ての時間を共有できなかったことが心残りだが、自己記録を大幅に更新した部員多数。これは例年通りであり、まさに期待通りである。しかし…。
私が思うリフティング記録会の“効用”は、修行のようなモノである。つまり、ボールに集中し、とことんやりぬくことが結果的に自分の心と向き合う作業になる。そしてそれが自信や達成感を獲得することに繋がれば…と考え毎年実施している。そういう意味で言えば期待していたよりも記録を伸ばせなかった部員がいるのは…残念としか言いようがない。厳しいことを言うと、遠征を含めたいくつかのゲームで自分の力を相変わらず出し切れない部員は、記録会で伸びなかった部員と、完全にカブる。これには間違いなく因果関係があるとしか言いようがない。
“今の自分のままでいい”とする、いわば甘えた自己肯定が、結果的に“ここ”というところで力を発揮できない自身をつくっている、ということに気付けるかどうか。“自分のことだ…”と思う部員にとっては耳の痛い話だろうが、アンガク女子サッカー部をつくってきたのは、本気で自分を変えようとして、本当の強さを少しずつ身に付けてきた歴代の先輩たちなのだ。創部から8年が経った。伝統の火を消すようなことがあってはいけない。
伝統は勝敗の記録だけでつくられるものではない。過ごした時間と取り組む姿勢が脈々と受け継がれてつくられる、のである。
29日、滋賀遠征の帰り道、伝統の代替わり式。
9代目主将ふたかな、副将ちはる、あゆみから10代目として受け継いだのは主将にゆきよ、副将にあや、あん。この体制で2014年4月1日から2015年3月31日まで活動していくことになる。
9期生はプレーはもちろん、組織作りとしても過去最高と言えるほどの成長を見せ、それは当然のように今も継続している。無論、先輩の協力があって、という部分もあるが、なにより9期生自身が自覚と覚悟をもって取り組んだ証ではないだろうか。
武者震いに似た感情を言葉にし決意表明した10期生にも期待しよう。
成功と同じくらいの失敗を。
そして、そこからもう一歩前に出てくる勇気を。